2018年06月12日

神々の流竄(るざん)

『神々の流竄(るざん)』
梅原 猛 著
集英社文庫 刊

 この本は梅原先生の『葬られた王朝』の予備講にあたる本である。
『葬られた王朝』では、八岐大蛇は日本の越の国、『新潟』『金沢』『福井』などからやってくる中国籍の渡来人と欠かれている一方で、『神々の流竄』では、八岐大蛇とは三輪山のことで、背中に松、杉、檜がある龍とは奈良の三輪山のことだと解釈している。
 また、『神々の流竄』では、出雲王朝の滅亡について、大和政権から追放された王族が、出雲に追いやられたと解釈している。
あとから書かれた『葬られた王朝』では、もともと出雲にあった王朝が、大和を征服しようとしたが、反対に大和の王朝に征服されたと解釈している。

 同じ著者による同じ内容についての考察だが、結論的にはかなりの相違を見る。
これは梅原先生の着想時に書かれた本が『神々の流竄』で、
のちに現場への考古学的アプローチを重ねた結果出来上がったのが、『葬られた王朝』であると知れば納得できる。

 梅原古代学の熱気あふれるこの本が、最も根幹とする意見は、『古事記』と『日本書紀』の著者は同じ人物であり、
古事記の作者とされる稗田阿礼(ひだのあれい)とは、ずばり、当時の政権保持者、藤原不比等(ふじわらのふひと)であると名言している点だ。
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2018年06月04日

梅原 猛 日本仏教をゆく

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『梅原 猛 日本仏教をゆく』
梅原 猛 著
朝日新聞社 刊

 日本に仏教を布教した高僧の数々をエピソードを交えて紹介している。私が興味を抱いたのが、3名の人物。
一人目は奈良の大仏の門に立つ仁王像を作成した運慶。直立ではなく体をひねり立つ姿と他の追随を許さない顔の表情が最高と信じている。この運慶の像が、なんと岡崎市の滝山寺で拝観出来るという。像の名は聖観音立像(しょうかんのん)、梵天立像(ぼんてん)、帝釈天立像(たいしゃくてん)。時間をみつけて出かけてみたいものである。
二人目が、利休。お茶の創始者だ。彼がつくった茶室を別名『山里(やまざと)』と名付けたという点が、たいへん気になる。
三人目が宮沢賢治だ。今迄は単なる東北出身の童話作者だと思っていたところ、彼は浄土真宗からみずから日蓮宗に改宗したという点が気になった。さらに梅原先生は、鈴木大拙と宮沢賢治の二人を賞賛して、「二十世紀の日本に出現した最大の菩薩である」と表現しているのである。賢治の研究に及ぶべきかな?
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posted by coichi at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本古代史